TikTokとのコラボで見えた、リアル広告の可能性。Metro Ad Creative Award

Metro Ad Creative Award

「自分たちの大きな武器である交通広告・OOH(屋外広告)の価値をもっと高めていこう――そんな、メトロアドエージェンシー(以下、メトロアド)若手社員の声から生まれたMetro Ad Creative Award(以下、MACA)。東京メトロの交通メディアを最大限に活用し、新しい表現やアイデアを持った才能の発掘、育成を目指している。
MACAは2017年にスタート、2021年で5回目を迎えた。2021年からは、これまでの中づりポスター作品を募集する「デザイン部門」、駅構内メディアを活用した「プランニング部門」に加え、縦型サイネージとTikTok広告を活用する「TikTok広告部門」が新設された。
なぜ、オフラインをメインとしたMACAに、TikTok広告部門が設けられたのだろう。

河野

TikTok for Business Japan

富田

株式会社メトロアドエージェンシーメディア

2017年 中途入社

違うからこそ一緒に何かできるのでは?

河野:私がメトロアドさんとお付き合いをするようになったのは、2019年11月のことです。
TikTokの特徴は、縦型のスマホフル画面、サウンドオン、ショートムービープラットフォーム。また、他のプラットフォームより「ながら見」が少なく、隙間時間に、自宅でリラックスしているタイミングで視聴されることが多く。
こうして特徴を列挙してみると、メトロアドさんが扱う交通広告やOOHとは、媒体の特性も見られるタイミングも全く違います。
しかし、違う部分があるからこそ補完し合えるだろうと、私は思いました。

富田:私たちでも、自分たちが扱う事案で、話題となったアイドルや漫画の交通広告・OOHを見に来て写真に撮り、SNSにあげるといったものが増えていました。
いつでも誰もが発信できるTikTokを始めとしたプラットフォームやSNSに、私たちが扱うリアルな媒体が支えられている。そんな実感を、私たちは持つようになっていたんです。
また、動画の世界観に没入できるTikTok for Businessさんと私たちが手掛ける日常生活でふと目にする広告を掛け合わせて、オフライン・オンラインの双方から盛り上げることもできるのではと考えていました。

河野:私はTikTokと交通広告・OOHの共通点も、2つほど感じていました。
一つはユーザー層です。今でこそTikTokは主婦ママ層や、孫と一緒に楽しむご高齢のユー ザーなど幅広く受け入れられていますが、当時は若年層や新社会人が中心。駅のポスターやOOHを自分で撮ったりする層などは東京メトロのユーザーの一部と重なっていると思いました。
もう一つは、クライアント業種が近いということ。マスのユーザーを獲得していく必要のある書籍関係、化粧品、飲料などが共通していました。

専門家ではない人からも、広く気軽に新しいアイデアを募ろう。

河野:そうしたことから、月に一回はメトロアドさんとディスカッションを重ねました。メトロアドさんもサイネージなどを扱っているので、同じ縦型動画メディアをもつ者同士で何かコラボできるのでは?などと盛り上がりました。
しかし、なかなか実際の案件にまで至らず、そのうちコロナ禍にもなってしまいました。
MACAでTikTok広告部門を創設するというお話をいただいたのは、そんなときです。

富田:私たちがお声がけした理由としては、広告の価値観が多様化したことがベースにあります。
去年のデザイン部門のグランプリ作品を、最初「いたずら?」と思うメンバーもいたほど(笑)、これまでの「よい/面白い広告」という枠にはまらない応募作品が増えていました。
こうした経験から、専門家でない人や広告に関わっていない人にも面白い広告を生み出すことができるんじゃないかと考え始めたんです。
これまで主なターゲットとしていた広告代理店のデザイナーや広告を学んでいる学生に限らず、TikTokを使って広く気軽に新しいアイデアを募るのはどうだろう。そう考えてお声がけしました。

河野:私たちとしては、今回ご一緒させていただくことで、ずっと実現したいことが形になりました。それは、賞、アワードを主催することです。
TikTokは比較的新しいプラットフォームなので、広告クリエイターの方たちからどう扱えばいいかわからないという声もいただいていて、その解決策のひとつにアワード開催があったのです。けれど、実際の運用や継続性の面から見送っていた経緯がありました。
だから、お声がけいただいたときはとても嬉しくて、「これしかないな」と思いました。

賞の運営を通じて互いの強み、価値を改めて認識。

富田:TikTok for Businessさんとは、賞のオリエンテーションや広報活動の一環としてインタビューをご一緒したりする中で、お互いのストロングポイントなどを認識し合ってきました。今までとは異なる視点から交通広告・OOHを見る機会が増え、価値を改めて認識するきっかけになりました。
例えば、先日受けたインタビューで広告クリエイターの方がこう仰いました。「偶然コンテンツに出会うことは、オンライン、オフラインも同じ。一瞬でコンテンツに引き込むクリエイティブについては、ノウハウなど同じところがあるはず」。なるほど、本当にその通りだと思いましたね。

河野:私は、TikTok広告の可能性を感じました。今回、想像していなかった企業から課題提供を受けることができましたからね。

富田:現時点では、まだ応募作品が見られていない状態です。これまでも動画部門はありましたが、専門的な機材やたくさんのスタッフが必要などハードルが高く、応募は少なかった。今回TikTok広告部門を創設することで、応募が増えるのではと期待しています。

河野:私も、応募作品への期待は大きいですね。
TikTokに日々触れる中で、少数の人が考えた限界を、たくさんの人が持ち寄ったアイデアが突破していくのを目の当たりにしています。
また、専門知識がなくても、TikTokに動画をアップする人たちは撮影などもすごく上手だし、アイデアも斬新。プロの広告クリエイターとアマチュアの境界は案外なくなってきていると、日々感じています。
だからこそ、MACAを通じて新しい才能に早く出会いたいと思います。

TikTokが交通広告・OOHに学ぶことはたくさんある。

富田:MACAも、実際に広告として世に出ていない作品を審査の対象とし、当初から若手広告クリエイターの登竜門になることを目指してきました。
だからこそ、広告として世に出たものを審査する既存の広告賞にはない切り口や、斬新なアイデアに毎年出会えています。そういうものに触れると、交通広告・OOHの可能性は無限大だと思えてきます。
また交通広告・OOHは、1枚のポスターから何十メートルのラッピングまでプラットフォームがさまざまです。そういったメディアの特性を活かせば、発想やアイデアを無限に広げられると感じています。それは交通広告・OOHという枠だけでなく、広告自体の可能性を広げることにつながるはず。そう私は信じているんです。

河野:私は今回ご一緒する中で、交通広告・OOHの可能性を再確認しました。
例えば、Web媒体はデータを精緻に取得できることを、これまでリアル媒体に対して強みとしてきました。しかし、情報を取得することに関して規制は年々厳しくなっていて、その傾向は今後も続くと予想されます。
しかし、交通広告・OOHは、そもそも精緻なデータが取れない中で発展してきました。データに頼らず、クリエイティブで人に強いメッセージや情報を届けてきた歴史もあります。
そこに、私は大きな可能性を感じるし、これから私たちが勉強しなければいけないところと思っているんです。

富田:そう言っていただけると嬉しいですね。MACAの目的は、第一に交通広告・OOHの価値を高めることにありますから。
今回TikTok for Businessさんとコラボしたような他のメディアとの協力は、今後も続けていきたいですね。そして、交通広告・OOHの価値を高め、さらには広告全体の可能性を広げていきたいと思います。